店舗運営改善の第一歩は「従業員の声」から ~多店舗展開企業におけるアンケート活用のすすめ~

多店舗展開をしている企業にとって、店舗運営の質をいかに均質化・向上させていくかは常に大きな課題です。
本部の方針や仕組みが整っていても、店舗ごとに環境や従業員の個性が異なる以上、「現場で何が起きているのか」を正確に把握しないと、効果的な改善策を講じることはできません。
その「現場理解」のカギを握るのが、従業員の声です。
この記事では、なぜ従業員の声を集めることが重要なのか、どのように収集・活用すれば店舗運営の改善につながるのかを、実践的な視点で解説していきます。

多店舗運営に潜む「本部と現場のギャップ」
本部が「全体最適」を目指すのに対し、現場は日々の業務に追われながら「個別最適」を模索しています。
この構造上のギャップは、多くの多店舗展開企業に共通する悩みです。
- 現場では既存業務との整合が取れず、混乱している
- 本部から現場に十分な説明がないまま導入され、従業員にとっては「押しつけ」に感じられている
- 店舗の立地や客層によっては、マニュアル通りに動くことが難しい
といった問題が起こることがあります。
こうしたズレを本部が感知できないまま放置すれば、「施策はあるが成果が出ない」という状況に陥ってしまうのです。
このギャップを埋めるには、現場の生の声を本部が能動的に収集する姿勢が不可欠です。
なぜ「従業員アンケート」が有効なのか
現場の声を拾う手段はさまざまありますが、特に有効なのが「従業員アンケート」の活用です。
定期的にアンケートを行うことは、以下のような効果をもたらします。
情報を「定量・定性」の両面で得られる
選択形式や5段階評価形式などの項目を使うことで、定量的なデータを収集でき、店舗間でデータを比較した評価をすることが可能です。
一方で自由記述形式の項目を設ければ、集計が難しいような定性的なデータを収集でき、個別店舗ならではの具体的な課題なども見えてきます。
「本音」が出やすい仕組みを作れる
面談や日報では伝えづらいことも、匿名性のあるアンケートであれば正直な意見が出やすくなります。
特にパートやアルバイトの声は、貴重なヒントになることが多いです。
現場に「聴いてくれている」という実感が生まれる
アンケートを実施することで、「本部は現場の声に耳を傾けている」というメッセージが伝わります。
そのうえで、アンケート結果をもとに改善アクションが取られれば、従業員のエンゲージメントが向上し、離職率の低下にもつながります。
どんな内容をアンケートに盛り込めばよいか?
アンケートの内容は、目的によって変える必要がありますが、店舗運営の改善を目的とする場合は、以下のような項目をバランスよく取り入れることが効果的です。
■店舗運営に関する質問項目例
- 店舗内の業務フローで非効率に感じる点はありますか?
- 品出しや清掃などの作業分担に偏りはありませんか?
- 現在のシフトや人員配置に無理を感じますか?
- トラブル発生時の対応マニュアルは明確ですか?
■顧客対応に関する質問項目例
- お客さまからよく受ける要望・クレームはありますか?
- 商品陳列やPOPの見やすさに関して、お客さまの反応はどうですか?
- 接客ルールに対する理解度は高いと思いますか?
■働きやすさ・人間関係に関する質問項目例
- 店舗内の人間関係は良好ですか?
- 新人教育はスムーズに進んでいると思いますか?
- 店長・マネージャーからのフォローは適切だと感じますか?
これらの項目に対し、選択式の5段階評価と、必要に応じて自由記述を組み合わせるのが一般的です。
回収後に重要なのは「結果の活用とフィードバック」
アンケートを実施しても、それを活かさなければ意味がありません。
むしろ「聴いたのに何も変わらなかった」と現場の不信感を生むリスクにつながります。
アンケート結果は、以下のような流れで活用するのが理想的です。
- 集計・分析
数値の高低や店舗ごとの傾向を可視化する - 優先順位の設定
すぐに着手できる課題と、中長期的に取り組む課題を分ける - 改善策の実行
具体的なアクションに落とし込み、担当部署と共有する - 現場へのフィードバック
実行結果と対応内容を丁寧に伝えることで、信頼を築く
この一連の流れを「習慣化」することで、組織としてのPDCAが回りやすくなり、改善サイクルが自然に根づく文化が形成されていきます。
アンケートを成功させるための3つのポイント
店舗業務で多忙な従業員にアンケートを回答してもらうには、以下のポイントを抑えることが重要です。
- 「聴くだけ」で終わらせないこと
アンケートの目的は、改善のためのヒントを得ることです。従業員の声に反応し、アクションを取る姿勢が信頼を生みます。 - 適切な頻度で実施すること
毎月のように行うと回答負荷が高くなり、質が落ちる場合もあります。
四半期ごとや半期ごとなど、定点観測ができる頻度での実施が理想です。 - 店舗責任者の巻き込みを忘れないこと
店長やマネージャーがアンケートの意義を理解し、従業員に促すことで、回答率や回答の質が大きく向上します。
同時に、店長自身の「管理者としての視点」を引き出すことも大切です。
まとめ:従業員の声は、最前線からの「経営レポート」
多店舗展開をする企業において、「本部が見えない現場の課題」にどうアプローチするかは永遠のテーマです。
その答えの一つが、「従業員の声を聴く」ことにあります。
一人ひとりの従業員が感じている「ちょっとした違和感」や「小さな工夫」は、集まれば非常に有効な改善ヒントになります。
そしてそれを継続的に拾い上げていくことで、現場の変化→店舗の成果→企業全体の成長へとつながる好循環が生まれます。
「店舗運営改善の第一歩」は、決して大掛かりな施策や設備投資ではなく、
目の前にいる従業員の声に耳を傾けることから始まります。
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お困りごとがありましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。

執筆者情報:
ユニリタ STORE+チーム
株式会社ユニリタ ビジネスイノベーション部
多店舗管理ツール「STORE+」のプロモーション担当チームです。
コミュニケーション情報を蓄積・共有・活用するシステムに長年携わってきたメンバーが、多店舗・多拠点の管理に課題を持つ方に、役立つ情報をわかりやすく発信することを心がけています。