店舗マニュアルの重要性と作成のコツ ~複数店舗所有ならば必見です~
店舗運営のためのマニュアルは、出入りが激しかったり従業員数が多かったりする店舗運営において欠かせません。共通の理解を促すことで業務に一貫性を持たせられ、業務の指針となるからです。
また、研修時の業務説明を簡略化し、誰が研修の講師を担当しても同一の内容を伝えることができるといった点でも重要なものです。
店舗運営マニュアルは、具体的な行動レベルまで落とし込んで記載し、従業員がマニュアルに従うメリットを伝えるのが作成のコツ。接客や業務の方針だけでなく、実際に行動につながる詳細な作業内容を示することで、有用な店舗運営マニュアルを作成できます。
本コラムでは、マニュアル作成時に役に立つ情報をお届けします。
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店舗マニュアルの重要性
冒頭でもお伝えしましたが、出入りが激しかったり従業員数が多かったりする店舗運営において、マニュアルが果たす役割は大きなものがあります。
ただ、いざ「では、マニュアルの役割とは?」と尋ねられると、答えに窮する方が多いのではないでしょうか?
この章では、マニュアルの重要性について、マニュアルの持つ役割の面から解説します。
研修時の業務説明の簡略化
新人研修で業務説明を行う際、図入りなどのマニュアルに基づいて説明することで、説明を簡略化できます。説明漏れも起きにくくなり、誰が研修の講師を担当しても同一の内容を伝えることができます。
また、説明を受ける側も、何もないところから話を聞いてメモを取るよりも、マニュアルがあった方が理解しやすいでしょう。
業務に一貫性を持たせる
前項とも関連しますが、マニュアルという共通の基準に基づいて教えたり教わったりすることで、業務を統一することができます。
マニュアルは時間の経過とともに改訂を行う必要がありますが、改訂のたびに全従業員に共有すれば、入社時期が異なったり、年齢層が幅広く価値観が異なるような場合も、業務に対する認識を統一し、共通の理解を促すことが可能になります。
従業員にとって業務の指針となる
新人が研修後に復習したいときや、社歴の長いスタッフが業務に関するルールを忘れてしまったとき、研修の講師が改めて業務について見直したいとき、また、複数のスタッフがバラバラな手順で業務を行っていて何が正しい方法なのかを調べたいときなどに、マニュアルに立ち返れば、標準的な業務遂行の方法を確認できます。
店舗マニュアルの種類
店舗マニュアルにはいくつかの種類があります。ここでは、マニュアルの目的・粒度別に「基本マニュアル」「業務マニュアル」「オペレーションマニュアル」の3つに分けてご紹介いたします。
基本マニュアル
基本マニュアルとは、以下で紹介する「接客マニュアル」「オペレーションマニュアル」の上位に当たる概念(経営理念や販売戦略など)を記載し、従業員の意識や価値観を統一するためのマニュアルです。
基本マニュアルを策定しておくことで、マニュアル全体の方針が統一され、ひいては従業員の業務にも一貫性を持たせることができるようになります。
業務マニュアル
接客マニュアルとは、店長・副店長などのマネジメントに当たる人、接客に当たるフロアスタッフ、バックヤードで料理を作る調理スタッフなど、役割ごとに分けて作るマニュアルのことです。
業務マニュアルのさらに下位には、次項でご紹介する「オペレーションマニュアル」が紐づきます。
オペレーションマニュアル(操作マニュアル・作業マニュアル)
オペレーションマニュアルとは、役割ごとに作られた業務マニュアルをさらに具体的にしたもので、実際の業務に直結する内容がまとめられたマニュアルです。
たとえば、接客に当たるフロアスタッフのオペレーションマニュアルなら、「接客マニュアル」「レジ操作マニュアル」「調理補助マニュアル」「商品陳列マニュアル」「在庫管理マニュアル」「清掃マニュアル」といった個別のオペレーションマニュアルを揃える必要があります。
店舗マニュアルの作り方
実際に上記のようなマニュアルを作成する手順をご紹介いたします。
作成するマニュアルの種類・目的を決める
まずは、作成するマニュアルを決め、そのマニュアルに求める目的を決めましょう。
前章のおさらいになりますが、「基本マニュアル」は従業員に経営理念・販売戦略といった企業の根幹をなす概念を共有・浸透させること、「業務マニュアル」はそれぞれの立場の従業員が自分の役割をまっとうするための考え方・行動の基本を示すこと、「オペレーションマニュアル」は従業員が迷わずに実務を行えることが基本的な作成・運用の目的となります。
これを基本に、自社店舗に合わせて目的を明確化します。
目的の確認と併せて、マニュアルの読み手となるターゲットも再確認しておきましょう。マネージャーなのか、フロアスタッフなのかといったことです。
この段階で、マニュアルを配布する方法(媒体)も決めておきましょう。冊子(印刷物)なのか電子ブックなのか動画なのかといったことです。
また、マニュアル作成を複数名で行う場合は、担当者の振り分けもこのタイミングで行っておきましょう。
構成案(もくじ)を作る
作成するマニュアルと目的、ターゲットなどを明確にしたら、次は具体的な内容を詰めていきます。中身を作る前にアウトラインを決めておけば、修正などの手戻り工数を抑えられます。
既存の企業理念や現状の作業内容などを確認したり、他社のマニュアルなどを参考にしたりしながら、盛り込むべき内容を精査し、マニュアルに収める順序を決めて構成案(もくじ)を作っておきましょう。
本文を作成する
マニュアルに収録する項目が決まったら、それを文章に落とし込んでいきます。
必要に応じ、マニュアルに収める情報素材収集のための取材やリサーチといった作業も発生してきます。
集めた情報を整理し、文章にまとめていきます。作成の際は、下の「店舗マニュアル作成のコツ」もご覧ください。
文章だけではわかりづらい部分は、補足するようなイラストや図、写真、動画素材も用意しましょう。
動画などで作成する場合は、ここで台本を作成します。
校正・チェックを行う
最後に全体の校正・チェックを行い、修正したら完成です。
あとは、紙媒体なら印刷を手配し、動画や電子ブックならアップロードするなど、従業員に共有するための作業を行い、配布しましょう。
マニュアルは、完成したらゴールではありません。定期的に見直しを行い、マニュアルをより最適な状態に近づけられるよう運用していきましょう。
店舗マニュアル作成のコツ
店舗運営マニュアルを、よりわかりやすく、より効果的なものとするためには、どのように作成したら良いでしょうか?
三つのコツをご紹介します。
行動レベルまで記載する
業務や接客に関するポリシーや方針、考え方など、大枠の方向性をマニュアルに盛り込むことは大切ですが、その粒度で止めてしまうと、具体的にどう行動したら良いかイメージできない従業員も出てきます。
初心者にとってもわかりやすいように、細かい部分(場所、時間、分量など)まで数値などを挙げて明確に作成しましょう。
マニュアルに従うメリットを伝える
マニュアルの内容に従ってもらうには、マニュアルに従うメリットを伝えるのが効果的です。
「短時間で行える」「ミスが少なくなる」「楽に行える」「評価が上がる」など、マニュアル通りに業務を行うことで得られるメリットを明確に示しましょう。
マニュアルに従わなかった場合に被るデメリットを伝えるのも良いでしょう。
悪いマニュアルの例
では逆に、わかりづらい、効果の低いマニュアルとはどういったものでしょうか?
あらかじめ知っておき、反面教師として活用しましょう。
読み手のことを考えていない
基本的にマニュアルは、たとえばマンガのように「誰もが読みたくなる」ような楽しいものではないことを認識して作成に当たりましょう。
マニュアルを読んだり確認したりする作業は、多くの従業員にとって「面倒くさい」「できれば、やりたくない」ものです。
ただでさえ、多少のマイナス感情をもって読まれることになるマニュアルですから、読み手の負担を減らし、わかりやすく伝える意識で作成することが大切です。
図示やイラスト、マンガなどを盛り込んだり、電子ブックや動画などを活用したりと、読み手が理解するハードルを下げる工夫が大切になります。
説明が抽象的で複数の捉え方ができる
「店舗マニュアル作成のコツ」の「行動レベルまで記載する」の反対で、説明が抽象的であれば、読み手(従業員)によって複数の捉えられ方をしてしまうため、業務を統一することはできなくなります。
また、誤解や勘違いも生じやすくなり、トラブルの元になり兼ねません。
マニュアル本来の役割を果たすものを完成させるためにも、明確かつ具体的な表現でマニュアルを作成しましょう。
構成がまとまっておらず、順を追った説明になっていない
マニュアルは、従業員に共有された後、忘れたりわからなくなったりしたときに立ち返ることができるように作成することが大切です。
もしも、構成がまとまっていなければ、読みたい箇所がすぐに見つけられず、結局は活用されないマニュアルになってしまうでしょう。
業務の時系列に並べたり、目的別に探せるようにしたりという構成を取ることで、知りたい情報を見つけやすいマニュアルになります。
まとめ
マニュアル作成のコツを、悪い例も交えながら解説しました。
マニュアルは、マネジメント層が現場を統制するためのものであるのと同時に、店舗スタッフが効率的に生産性高く業務を実施するためのものです。読み手に伝わりやすくわかりやすいものを作成したいものですね。
本コラムが店舗マニュアル作成の参考になれば幸いです。 店舗マニュアル作成後の注意点に関して別記事にてお届けしますので、ぜひご覧ください。
執筆者情報:
ユニリタ STORE+チーム
株式会社ユニリタ ビジネスイノベーション部
多店舗管理ツール「STORE+」のプロモーション担当チームです。
コミュニケーション情報を蓄積・共有・活用するシステムに長年携わってきたメンバーが、多店舗・多拠点の管理に課題を持つ方に、役立つ情報をわかりやすく発信することを心がけています。