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小売業で推進されているデータドリブン店舗経営とは?〜背景から今後の展望まで解説~

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今、小売業ではデータドリブンな意思決定が主流になりつつあります。データドリブンとは、経営層の勘や経験ではなく、デジタルデータに基づいて意思決定を行うことです。顧客行動の複雑化や多様化により、勘や経験をベースにした従来の考え方では、消費者のニーズを読み解くのが難しくなりつつあります。顧客データを始めとしたデジタルデータを活用し、効率的な経営判断を行いましょう。
また、小売業の場合は、店舗経営の課題を見える化する「店舗分析」にもデジタルデータが役立ちます。本記事では、小売業でデータドリブンが推進されている背景や、データドリブン化を進めるメリット、今後の小売業の展望を分かりやすく解説していきます。


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データドリブンとは?デジタルデータを活用した意思決定のこと

データドリブン(Data Driven)とは、膨大なデジタルデータを分析し、経営課題の解決や新しいビジネスチャンスの創出に活かす考え方を指します。これまで経営上の意思決定は、経営層の勘や経験に基づいて行われてきました。一方、データドリブンな経営では、客観的なデータをエビデンスとして意思決定を行います。
データドリブンは、もともとOECD(経済協力開発機構)が2013年に提唱した言葉です。当初は社会課題の解決のため、ビッグデータやオープンデータの活用を推進するデータ駆動型経済が主な論点となっていましたが、近年はデータドリブンの考え方がビジネスにも転用されています。
例えば、総務省の令和2年版情報通信白書によると、以下のようなデジタルデータが企業経営に活用されています。[注1]

  大企業 中小企業
固定電話 19.60% 7.40%
携帯電話 22.50% 6.50%
電子メール 34.20% 17.50%
POSデータ 23.10% 5.10%
eコマースにおける販売記録データ 24.30% 6.10%
アクセスログ 31.60% 12.40%
Blog、SNS等記事データ 13.70% 3.90%
CTI音声データ 8.40% 1.80%
GPSデータ 11.50% 3.30%
RFIDデータ 8.00% 1.70%
気象データ 8.70% 2.20%
顧客データ 41.90% 25.80%
経理データ 29.90% 18.30%
業務日誌データ 26.30% 14.80%
交通量・渋滞情報データ 8.10% 2.00%
動画・映像視聴ログ 9.40% 1.70%
防犯・遠隔監視カメラデータ 10.70% 3.40%
センサーデータ 10.60% 1.90%
電子レセプトデータ 5.80% 1.30%
電子カルテデータ 5.40% 1.10%
画像診断データ 5.20% 1.20%

中小企業よりも大企業の割合がやや多いものの、顧客データや経理データなどは、中小企業も活用を進めていることが分かります。例えば、顧客の属性や購入履歴、購入までの経緯、購入後の満足度やリピート率などのデータを分析すれば、顧客行動を効果的に分析し、適切なアプローチを導き出すことができます。特に小売業では、データドリブンな経営と相性がよいことから、積極的にデータ活用が進められてきました。


小売業でデータドリブン化が進む背景

データドリブン化が急速に進む業種の一つが小売業です。なぜ小売業でデータドリブンな経営が取り入れられているのでしょうか。その理由は2つあります。

  • 小売業では、データドリブンな経営に必要な情報をたくさん収集できる
  • デジタルデータを高速かつ高度に分析する技術が普及し、データ活用のハードルが低下している

小売業はお客様(エンドユーザー)と直に接し、商品やサービスを販売する業種です。例えば、購買データ(POSデータや会員カードなど)、来店客の人流データ、カメラを用いた来店客の属性データ、視覚計測(アイトラッキング)の技術を用いた視線の動きなど、さまざまなデータを収集できます。そのため、小売業はデータドリブン型の経営モデルとの相性がよいとされています。

また、デジタルデータを高速かつ高度に分析する技術が普及し、データ活用のハードルが低下したことも、データドリブンな経営を後押ししています。例えば、その一例が店舗データの抽出や変換を行うETL(Extract Transform Load)や、収集したデータを多角的に分析するBIツールなどのITツールです。

このようにIT技術の発展により、小売業のデータドリブン化はますます進行しています。データドリブンに興味がある人は、データドリブン経営のメリットも知っておきましょう。


データドリブンのメリット

小売業がデータドリブンな意思決定を行うメリットは3つあります。

  • 経営判断の再現性を高めることができる
  • 店舗経営のボトルネックを発見できる
  • 顧客行動を深掘りし、パーソナライズなサービスを実現できる


デジタルデータを収集すれば、店舗経営の課題を見える化し、一つずつ改善していくことが可能です。また、顧客行動を深掘りすることで、お客様一人ひとりに合わせたパーソナライズなサービスを実現できます。

経営判断の再現性を高めることができる

従来の勘や経験に基づく経営判断の問題点は、再現性がなく、経営層の資質に影響を受けるという点にあります。もし施策が成功しても、「なぜうまくいったのか」「次回も成功させるには、どのような取り組みが必要か」を、根拠に基づいて説明できません。また、過去の成功体験が忘れられず、ついつい現状維持を選ぶ「現状維持バイアス」に陥るケースも多くみられます。
データドリブンな意思決定を取り入れれば、施策の効果や問題点を見える化し、データというエビデンスに基づいて説明できます。経営判断の再現性を高め、成功体験を裏付けのあるノウハウとして蓄積していくことが可能です。また、もし担当者の変更や退職があっても、過去の経営判断をデータに基づいて再現し、同じロジックに基づいて意思決定を行うことができます。そのため、業務の属人化を防止するという点でも、データドリブンな考え方を取り入れることが大切です。

店舗経営のボトルネックを発見できる

データドリブンな手法を取り入れれば、「店舗分析」にも役立ちます。店舗分析とは、店舗をデータに基づいて分析し、課題や問題点を見える化する取り組みのことです。店舗分析は、顧客分析、競合分析、自店舗分析(自社分析)の3つの要素に分かれています。

 顧客分析  顧客行動を分析し、消費者のニーズを理解すること
 競合分析  競合する店舗を分析し、強みや弱みを理解すること
 自店舗分析(自社分析)  店舗の売上に関わる要素を分析し、課題を突き止めること 


収集したデータを分析し、顧客分析、競合分析、自店舗分析の3つの分析を組み合わせることで、店舗経営のボトルネックを簡単に発見できます。例えば、店舗経営のボトルネックの発見に適しているのが、さまざまなデータを統合し、横断的に分析することができるBIツールです。経営層の勘や経験だけでは発見できない課題も、データドリブン型の意思決定ならすばやく特定できます。

顧客行動を深掘りし、パーソナライズなサービスを実現できる

消費者のニーズが複雑化・多様化している今、「お客様一人ひとりのニーズに寄り添い、パーソナライズされたサービスを提供すること」がライバル店に差をつける決め手となります。そのためには、さまざまな顧客データを収集し、顧客行動を深掘りしていくデータドリブンな考え方が必要不可欠です。例えば、顧客の行動履歴からお客様をいくつかのグループに分け、それぞれのグループに合ったキャンペーンを展開する手法がよく知られています。また、リアル店舗でも、顧客のパーソナルデータを分析し、好みに合った商品をおすすめする取り組み事例があります。

以上のメリットを受けて、データドリブンな経営に挑戦したい人は「データドリブンの4つの柱」についての理解を深めましょう。


データドリブンの4つの柱

データドリブンの4つの柱とは、「データの収集」「データの可視化」「データの分析」「アクションプランの検討・実行」の4つのプロセスのことです。それぞれのポイントを順に解説していきます。

データの収集

データの収集とは、文字どおり店舗データを収集し、一箇所に集約することを意味します。お客様と直にやりとりする小売業では、購買データや人流データなど、多くのデジタルデータを取得できます。しかし、データはさまざまな店舗機能に分散されているため、一箇所に集約する仕組みが必要です。例えば、顧客データを収集する場合、顧客の属性や問い合わせ履歴などをデータベース化するCRM(顧客管理システム)などを用います。

データの可視化

データを収集したら、次にデータの可視化に取り組みます。収集したばかりのデータは、そのままでは活用できません。人間が閲覧しやすいようにデータを整形し、整理整頓する必要があります。例えば、ECサイトのデータを分析する場合、Web解析ツールを利用し、PV(ページビュー)やセッション、ユーザー属性などのデータをレポートやダッシュボードのような視覚的に分かりやすい形式で整理します。

データの分析

データの加工や可視化が完了したら、いよいよデータの分析を行います。データの分析には専門的なスキルが求められるため、データサイエンティストやデータアナリストなどのスキルセットを持った人材が必要です。自社でIT人材を育成するのが難しい場合は、外部パートナーにデータ分析を依頼する方法もあります。

アクションプランの検討・実行

データの分析結果に基づいて、店舗経営のアクションプランを検討しましょう。複数のアクションプランが存在する場合は、予算や費用対効果などを分析し、優先順位付けを行うことが大切です。また、アクションプランそのもののデータを収集し、効果測定を実施しましょう。データドリブン型の意思決定を取り入れる場合は、「データの収集」「データの可視化」「データの分析」「アクションプランの検討・実行」の4つのプロセスを繰り返し、すばやくPDCAサイクルを回すことが大切です。

データドリブンによる今後の小売業の変化

データドリブンな経営手法が普及すると、小売業界は今後どのように変化していくのでしょうか。考えられる変化は2つあります。

  • リアル店舗とECサイトの垣根がなくなり、オムニチャネル化が進行する
  • リアル店舗の役割が変わり、「商品を販売する場所」ではなく「顧客体験を提供する場所」になる
まず、リアル店舗から収集できるデータとECサイトのユーザーデータを組み合わせ、オムニチャネル化が進行することが予測されます。オムニチャネルとは、リアル店舗とECサイトの垣根をなくし、首尾一貫した顧客体験を提供するマーケティング手法です。例えば、「ECサイトで商品を検索し、リアル店舗で決済を済ませ、受け取りはECサイトを通じて行う」といった事例がオムニチャネルに当たります。オムニチャネルの実現には、お客様の会員情報や商品の購入履歴、商品配送に必要な住所など、さまざまなデータを統合する必要があります。

また、リアル店舗とECサイトの垣根がなくなると、リアル店舗の役割は「商品を販売する場所」ではなく、「顧客体験を提供する場所」に変化します。お客様に良質な顧客体験を提供するため、従業員の接客力がより重視されるようになります。今後の小売業の変化を予測し、データドリブンな経営手法を取り入れましょう。

まとめ

小売業は、POSデータや来店客の人流データ、購入者の属性データなど、多くのデジタルデータを収集できる業種です。そのため、小売業はデータドリブン型の経営モデルに適した業種だといわれています。例えば、データドリブンな店舗分析により、店舗経営のボトルネックを発見し、課題を解決することが可能です。データの収集を効率化するETLや、データ分析をサポートするBIツールなど、データ活用に役立つITツールが広く普及したことも、小売業のデータドリブン経営の追い風となっています。

データドリブンの第一歩として、店舗分析に役立つ「店舗運営管理ツール」を導入しましょう。クラウドサービスのSTORE+なら、店舗業務の可視化や管理を行うことが可能です。また、STORE+の「業務指示」機能なら、本部やエリアマネージャーからの指示を整理整頓して表示できます。店舗業務の課題を見つけたら、その日のうちに店舗スタッフに共有し、反省点を活かすことが可能です。これからデータドリブンな経営に取り組む人は、STORE+の導入を検討しましょう。

「STORE+(ストアプラス)」について詳しくは、こちらのページをご覧ください。

[注1] 総務省「令和2年版情報通信白書 第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd132110.html

videoIcon
https://www.youtube.com/embed/xkyXF_9abME

内野株式会社 様

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著者イメージ

執筆者情報:

ユニリタ STORE+チーム

株式会社ユニリタ ビジネスイノベーション部

多店舗管理ツール「STORE+」のプロモーション担当チームです。
コミュニケーション情報を蓄積・共有・活用するシステムに長年携わってきたメンバーが、多店舗・多拠点の管理に課題を持つ方に、役立つ情報をわかりやすく発信することを心がけています。

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