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OMOを海外の事例から学ぶ

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OMOを海外の事例から学ぶ

日常生活のなかでインターネットやデジタルの利用は当たり前のことになり、利便性を享受しています。日本は間違いなくIT大国といえるでしょう。しかし、「OMOとは? ―OMOの基礎知識とOMOに対しての日本企業の現状―」でもご紹介した通り、IT先進国といえるかどうかは、また別の話のようです。

そんな中、新型コロナウイルス禍の影響もあり、日本でもOMOが注目されています。日本よりもOMO化の進む海外での取り組みを知り、世界のOMO化の波に飲み込まれないよう、推進していく必要があるでしょう。

今回は、IT産業が急速に成長している中国と、それに次いでOMOに力を入れている米国のOMO事例をご紹介いたします。

【関連記事】
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OMOに取り組むべき理由

冒頭でも少し触れましたが、日本においてOMOを進めて行く理由を、少し掘り下げて考えてみましょう。

顧客体験のさらなる向上のため

中国においてOMOが進んだ理由の一つとして、もともと中国の実店舗におけるサービスの質や利便性が低かったり、病院によって医療サービスにバラつきがあるといった背景があります。一方、日本では平均的にサービス水準が高く、顧客はすでにオフラインの購買で満足しており、この点では差異があります。

しかし、日本においても顧客は常に、より高い利便性や目新しいサービスを求めています。
OMOでは、店舗都合の視点で設計され、顧客データと販売情報や在庫データの連携に始終してきたO2Oから一歩抜きん出て、顧客が購買を通して体験する「楽しさ」や「面白さ」といった顧客視点が重視されています。

小売業には、現状のOMOの域で慢心せずに、さらなる顧客体験の向上が求められています。

インバウンド対応のため

新型コロナウイルス禍が収まった後、再び海外からの観光客が日本を訪れたときにOMO対応がなされていなければ、観光客に物足りなさや不満を感じさせてしまうことが予測されます。特にOMOに慣れた中国や米国からの観光客の目には、日本のOMO化の遅れが顕著なものとして映るでしょう。

日本で買い物をする利点として、これまでは品質や品揃えの良さ、接客などが評価されてきましたが、今後はそこに「OMOにより買い物を通して得られる特別な顧客体験」を加えることで、インバウンド需要の一要素として訴求できるようになると考えられます。

 

OMO先進国、中国での事例

今後の日本におけるOMO化のために、海外での先進事例を紐解いてみましょう。
まずはOMO先進国である中国の事例からご紹介いたします。

アプリ「WeChat」のミニプログラム(テンセント/騰訊控股有限公司)

GoogleやLINEなど世界ではポピュラーなWebサービスやSNSが、中国では規制されており、使用することができません。代わりに中国には独自のアプリが普及しています。
なかでも、中国の大手IT企業であるテンセントが開発・提供している「WeChat(ウィーチャット/微信)は、月間アクティブユーザー数11.6億人を誇るSNSで、中国でビジネスを行う上では必須のアプリ。中国人にとっては社会インフラともいえる存在です。

WeChatでは、LINEと似たチャット機能で友人・知人とコミュニケーションが取れるほか、WeChatPayという決済機能が搭載されています。EC機能もついているため、「SNS上での評判をチェックして、そのまま商品を購入し、決済まで行う」という一連の流れがWeChatのアプリ内で完結します。
また、WeChatPayでは、ECのほか、店舗決済や公共サービスの支払い、個人間送金も可能です。
このほか、タクシーの呼び出しやホテルの予約などもアプリ内で行うことができ、WeChatは「スーパーアプリ」とよばれているそう。

このWeChatに、テンセントは2017年、さらなる顧客体験向上を追加しました。それが、OMO施策の「ミニプログラム」です。
ミニプログラムは、WeChatに紐づくインストール不要の軽量アプリで、UI(ユーザー・インターフェース)はWebサイトと似ています。

ユーザーは、ミニプログラムを利用することで、ゲームをしたり、駅に設置されたQRコードを読み取れば電車の発着時刻を把握できたり、行列ができる人気店もアプリから位置情報を送ることで近隣店舗を推薦してもらえて注文まで行え、並ぶ必要がないなど、さまざまな体験が可能になります。
まさに、WeChatというアプリがリアルの世界を取り込んだ状態になっているといえるでしょう。

医療サービスアプリ「グッドドクター」(ピンアン/中国平安保险(集团)股份有限公司)

中国の四大保険会社の一つであるピンアンでは、生活に関連するアプリを約100種類も提供しています。

その中の一つ、「グッドドクター(平安好医生)」では、チャットやテレビ電話などを使って24時間いつでも症状を医師へ伝えて、その場で診断してもらえます。その後、オンラインで診断書をもらうことができ、診断の結果、病院で治療する必要があれば、そのまま医療機関を予約することもできるのです。もしも、治療せず薬だけで治りそうなら、処方箋を発行してもらえ、薬を届けてもらうこともできます。

中国では信頼できる医療機関が少ないために、ささいな症状であっても大学病院などの受診を何日も順番待ちしている状況があったことから、設立3年で2億人のユーザーを抱えるまでに成長しました。
オンラインで健康の相談から投薬までをワンストップで行ってくれるサービスは世界でも「グッドドクター」だけで、ソフトバンクの孫 正義氏も「世界一進んでいる」と称賛したといいます。

「グッドドクター」の診断サービスは、同社の顧客でなくてもアプリを立ち上げてウォーキングをすると付与されるポイントを貯めることで利用できるため、日常的にアプリを使用してもらう効果が期待できます。これにより、同社はブランドのロイヤルティも向上。
同社ではさらに、「グッドドクター」から得たデータを元に、ユーザーに合った保険の営業活動にも利用しています。

 

米国でも進むOMO化

中国のほか、海外でOMO化が進んでいるのは米国です。
本章では、米国を中心に中国以外のOMO化事例をご紹介いたします。

「Amazon Go」と「Whole Foods」(アマゾン/Amazon.com)

書籍の小売からスタートし、いまやクラウドコンピューティングサービスでもシェアを拡大しているアマゾンでは、2016年から、レジで並ばずに買い物ができる新形態の小売店「Amazon Go」をスタートしています。
「Amazon Go」は、日本のコンビニのような小売店で、「無人コンビニ」と表現されることが多いものの、実際には多くの従業員が働いており、レジに人員を割かない「レジレスコンビニ」と呼んだ方が良いようです。

入店時には、AmazonのアカウントとAmazon Goのスマホアプリが必要で、ゲートにスマホで自身のアカウントのQRコードを読ませると入店できます。
買い物時は、棚から欲しい商品を、あらかじめ持参したエコバッグなどに入れ、決済は、退店時にゲートでスマホのQRコードを読ませるだけで、数分後にレシートがアプリに届くというシステム。

誰がどの商品を購入したかを判定しているのは、商品棚に設置された圧力センサーや重力センサー、マイク、天井に設置されたカメラなどで、これらの解析結果から顧客の購入品と購入数を正確に判定しています。

Amazon Goは、ECサイトと共通のアカウントで利用することから、AmazonのECサイトと同様に、Amazon Goでの購買履歴がECサイトの購買履歴と紐づけられ、レコメンド商品も表示されます。

一方、「Whole Foods」は、もともと自然食品店からスタートした米国のスーパーマーケットで、2017年にAmazon.comが買収しました。
「Whole Foods」では、Amazonのプライム会員限定で割引やデリバリーサービスを実施しています。

「Whole Foods」でも「Amazon Go」と同様に、入店の際はAmazonアカウントのQRコードをスキャンする必要があり、オンライン注文を行う際は、Amazonのプライム会員ページでログインする必要があります。

リアル店舗では、2020年9月に宅配専用の新業態店をニューヨークにオープン。
今後の予定として「Amazon Fresh」という新たな食品スーパーをオープンすることを発表しており、OMOを模索していくとみられます。

ピックアップタワー(ウォルマート/Walmart)

世界最大のスーパーマーケットチェーンである米国のウォルマートでは、上記のようなAmazonのOMO化に対抗すべく、OMO施策に多額の予算投下を行っています。

その一つが、ECサイトで購入した商品をリアル店舗で受け取れるサービスで、商品を保管している巨大な設備が「ピックアップタワー」とよばれるものです。ピックアップタワーとの大きさは、高さ16フィート(約5メートル)・幅8フィート(2.4メートル)。60cm×40㎝×40㎝までのサイズの箱が最大300箱も入るといいます。

具体的な利用方法は、Walmart.comでの注文の際にピックアップタワーでの受け取りを選択すると専用のバーコードが届き、ピックアップタワーの操作パネルにかざすと注文品が出てくるというもの。バーコードをかざしてから1分以内に商品が出てきます。

米国では宅配した先が不在だった場合、玄関に置いておく「置き配」が主流で、それを狙った盗難被害も多いことから、ピックアップタワーのように店舗で受け取りが行えるサービスが支持されているそう。特に、ウォルマートは24時間営業であることから消費者の利便性も高いのでしょう。

ウォルマートにとっては、ピックアップタワー利用者の「ついで買い」による集客メリットも得られ、双方にとって利点のあるサービスとなっています。

 

まとめ

中国を中心にOMO化が加速している海外。ひるがえって、日本ではまだOMO化はなかなか進んでいないのが現状です。

ただ、アフターコロナ、ウィズコロナを考えると、これからの小売にOMO化は必要になってくるでしょう。

この機会に、自社の戦略と強みに合ったOMOは何か、どんな施策から着手すべきかなどを検討し始めてみてはいかがでしょうか。

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内野株式会社 様

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執筆者情報:

ユニリタ STORE+チーム

株式会社ユニリタ ビジネスイノベーション部

多店舗管理ツール「STORE+」のプロモーション担当チームです。
コミュニケーション情報を蓄積・共有・活用するシステムに長年携わってきたメンバーが、多店舗・多拠点の管理に課題を持つ方に、役立つ情報をわかりやすく発信することを心がけています。

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