サンクスカードとは? 店舗で導入するメリットとデメリット
たとえば、専業主婦は、家族から日頃「ありがとう」という言葉がなかなかもらえないがために、家事のモチベーションが上がらないという話があるように、感謝の気持ちは仕事に対するモチベーションアップの大きなカギになります。
特に、店舗などで接客業に就いている人の中には、お客様からの「ありがとう」が聞きたくてその仕事を選んだという人が少なくありません。
お客様ばかりでなく、一緒に働く従業員や店長などからの「ありがとう」も、疲れを吹き飛ばしてくれます。
本コラムでは、店舗内の従業員同士で感謝の気持ちを送り合う「サンクスカード」について、導入のポイントやメリット・デメリットをご紹介します。
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サンクスカードとは
サンクスカードとは、文字通り、感謝の気持ちを伝えるカードのことです。
日本にも「お礼状」はありますが、欧米では季節やイベントごとにグリーティングカードを贈り合う習慣があり、プレゼントをもらったときやお礼の気持ちなども「Thank you」と書かれたグリーティングカードを贈ります。
日本でも、結婚式に出席してくれたお客様に対して感謝の気持ちを伝えるためなどに活用されている「サンクスカード」ですが、最近では、ビジネスシーンでも注目を集めています。
有名なのは、ザ・リッツ・カールトンの「ファーストクラスカード」やJALグループのサンクスカードで、ともに、感謝し褒め合う文化を醸成することでコミュニケーションの向上を図ることを目的としたものです。
サンクスカードを店舗で導入するときのメリット・デメリット
従業員同士のコミュニケーション向上は、店舗運営において重要な課題の一つです。
ここでは、サンクスカードを店舗で導入する場合のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
サンクスカードを導入することで、次の5つのメリットが期待できます。
従業員同士のコミュニケーション向上
サンクスカードを贈り合うことで、従業員同士のコミュニケーション向上が期待できます。
普段、思っていてもなかなか口にする機会がない感謝の気持ちを、サンクスカード制度をきっかけに形にすることができます。その時点でまず、コミュニケーションが発生しますし、サンクスカードをきっかけに相手に対する関心が高まり、さらなるコミュニケーションを生み出します。そしてそれが、また次のサンクスカードへとつながる…という好循環につながっていきます。
コミュニケーションが向上することで、仕事上の「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」不足なども改善され、業務の質の向上に結び付いていくでしょう。
従業員同士の絆が生まれる
サンクスカードを贈り合うという行動は、相手に対する感謝や、相手から感謝されているという実感を生み、そこに絆が生まれます。
さらに、サンクスカード制度をきっかけに、自分以外の従業員の仕事内容への興味や関心を高める効果も期待できます。相手への理解は、まず関心を持つところから始まるためです。
相手の業務の大変さを理解することで、たとえば「少し手伝ってあげよう」「忙しいのに、手伝ってくれた」といった思いやりや感謝の気持ちが生まれ、それが次のサンクスカードにつながります。
店舗の雰囲気が明るくなる
サンクスカードには、感謝したり、されたりというポジティブな感情のやり取りを通して、職場の雰囲気を明るくする効果も期待できます。
特に、お客様が訪れ、職場の雰囲気が直に伝わってしまう店舗においては、従業員同士の人間関係までもがなんとなく伝わってしまうもの。来店するお客様に、店舗でのお買い物やサービスを心地良く楽しんでもらうためにも、店舗の雰囲気を明るくすることは大切です。
従業員のモチベーション向上
サンクスカードを受け取ることで、自分の仕事が誰かに感謝されているということを実感できるようになります。
また、「従業員同士の絆が生まれる」でもお伝えしたように、サンクスカードによって、従業員同士で相手の業務への理解を深めることができます。
こうしたことから、自分の仕事に意義を見出せるようになり、モチベーションアップにつながります。
離職の抑制
ここまでにお伝えしてきたように、サンクスカードを導入することで、従業員の仕事や職場に対する意識は、プラスに変化していきます。
その結果、よりポジティブな気持ちで働けるようになると考えられ、離職を抑制する効果も期待できます。
特に店舗運営では、パートやアルバイトの労働力に頼る比重が大きく、従業員の出入りは激しいものになりがちです。
サンクスカードを取り入れることで、離職を抑制し、定着率を上げることができれば、採用にかかるコストも低減させられます。
デメリット
では、サンクスカードにはデメリットはないのでしょうか?
デメリットといえるのは一点、効果が出るまでには時間がかかるという点です。
効果が出るまでに時間がかかる
サンクスカードは、制度を導入したらすぐに効果が出るような即効性のある取り組みではありません。導入後、従業員がサンクスカードを送り合うのに慣れるようになった頃、じわじわと効果を実感できるようになるでしょう。
少なくとも、導入から半年~数年程度は継続し、様子を見ながら試行錯誤する必要があります。
また、具体的にどういった手段でサンクスカードを実現するかによって、コストが変わってきます。デジタルツールやアプリなどを利用する場合は、効果が出るまでにかかるコストもデメリットといえます。
サンクスカードを店舗で導入するポイント
店舗でサンクスカード導入を成功させたいなら、以下の点を意識しましょう。
導入する際に、従業員へ目的を共有しておく
サンクスカードの取り組みスタートを従業員へアナウンスする際は、ただ、取り組みをスタートすることだけを伝えるのではなく、どんな理由でサンクスカードを始めるのか、今後、店舗をどのようにしていきたいのか、といった狙いや想いも併せて共有しましょう。
店舗内の従業員全員がすぐに共感してくれるケースは少ないかもしれませんが、趣旨に賛同した従業員は積極的にサンクスカードを活用してくれるでしょう。
定着させるための推進を行う
サンクスカードに限った話ではありませんが、新しい施策やツールなどを導入する際は、ただ導入して「使ってください」と伝えるだけでは、なかなか定着しません。
そこで、推進メンバーを立て、メンバーが率先してサンクスカードを贈り、強制にならない程度にほかの従業員に参加を呼びかける…といった推進活動を行いましょう。
導入直後だけでなく、導入からある程度、時間が経過して、あまり利用されなくなってしまった際も、同様に推進メンバーの働きかけで復活が期待できます。
当事者だけでなく、店舗全体でサンクスカードを共有できるようにする
サンクスカードは、当事者間のやり取りのみでも「メリット」でご紹介したような効果を発揮しますが、さらに、贈り合ったカードをほかの従業員にも展開することで、店舗全体での盛り上がりにつながります。
定例ミーティングで毎回、発表するなど、定期的に共有することで、従業員の意識を高め、参加を促すことができます。
紙ベースで運用する場合は、広報誌や会議資料などの印刷物やスキャンしてデータでの共有を、ツールやアプリなどデジタルで運用する場合は、共有機能が付いていると便利です。
サンクスカードを導入する時の注意点
上でご紹介したポイントとは別に、失敗しがちな注意点としてお伝えしておきたいのが、サンクスカードへの参加を従業員へ押し付けたり強制したりしないことです。
浸透させたくても強制はしない
「サンクスカードを店舗で導入するポイント」でご紹介した3つのポイントは、どれもサンクスカード制度を店舗内に定着させ、従業員の参加を活性化させるためのものでした。
コストをかけ、目的をもってせっかく導入する制度ですから、全従業員に頻繫に参加してもらいたいと考えるのは当然ですし、効果を考えてもそれがベストでしょう。
ただ、コミュニケーションというデリケートで感情と密接に結び付くものを活性化させる施策なので、少しでもマイナスな感情が混じると、それがいずれ嫌悪感にまで発展してしまう恐れがあります。それでは、本末転倒です。
あくまでも従業員が自主的に主体的に取り組んでくれることが大切なので、「1人1ヵ月に1枚以上は書くこと」といった強制はやめましょう。
まとめ
日々の店舗業務に追われると、日々、顔を合わせている従業員同士であっても、なかなか感謝の気持ちを伝え合うことが難しくなってしまいます。
サンクスカードの制度を導入してお互いに贈り合うことで、店舗内の雰囲気が良くなり、業務上のコミュニケーションの円滑化も期待できます。従業員のモチベーション向上などにも役立つでしょう。
たとえば、「STORE+(ストアプラス)」なら、アプリ内で写真付きのメッセージカードを送り合うことができ、インスタグラム感覚で気軽に使えます。サンクスカードの導入をご検討の企業様は、ぜひ詳細ページをご覧ください。
お困りごとがありましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。
執筆者情報:
ユニリタ STORE+チーム
株式会社ユニリタ ビジネスイノベーション部
多店舗管理ツール「STORE+」のプロモーション担当チームです。
コミュニケーション情報を蓄積・共有・活用するシステムに長年携わってきたメンバーが、多店舗・多拠点の管理に課題を持つ方に、役立つ情報をわかりやすく発信することを心がけています。